国税庁がこのほど、グレーゾーンの金利に関して、国税の滞納者が不当利得返還請求権を有している場合、それを差し押さえるために取立訴訟を提起する事例があることを明らかにしました。
民間事業者の間では、事業の運転資金に行き詰まると闇の金融業者、いわゆる"ヤミ金"に手を出す人が少なくありません。もし、その事業者が破産宣告して負債の整理を行う場合、ヤミ金に払った利息制限法の法定利息を超えるグレーゾーンの金利については、不当利得返還請求権というものが生まれ、過去に払った分をヤミ金から取り戻すことが可能になります。
このほど国税庁が明らかにした事例は、国税の滞納者で建築業を営んでいた事業者のケースです。同事業者は、運転資金を調達するため金融業者から数十回にわたり借入れと返済を繰り返していましたが、事業を廃止せざるを得なくなりました。
そこで、国税の徴収職員は、所得税などを徴収するため、滞納者が資金を借り入れていた金融業者を調査したところ、利息制限法所定の上限利息は15%から20%であるにもかかわらず、2倍以上の利率で貸し付けられ、利息は天引きされていたことが判明しました。
利息の引き直し計算をしたところ、滞納していた国税の額を超える過払いがあることから、税務署長は、過払い金の返還請求権の差押えの可否について慎重に検討した結果、その不当利得返還請求権を差し押さえ、さらに法務局との協議の上、取立訴訟を提起することとした、と国税庁では説明しています。
全国の国税局・税務署が今年6月までの1年間(平成18事務年度)に実施した法人税と法人の消費税の調査結果を国税庁がまとめました。それによると、悪質な不正計算を行っていた法人は前年度よりも1割以上増えています。
国税庁のまとめによると、平成18事務年度において、大口・悪質な不正計算が想定される法人などに対して、全国の国税局・税務署は14万7千件について実地調査を実施しています。調査を行った法人のうち、何らかのミスがあったものは10万8千件でした。それによる申告漏れ所得金額は総額で1兆7,247億円にのぼり、前年度に比べて593億円(3.6%)も増加しました。
なかでも、仮装、隠ぺいによる不正計算のあったものは3万2千件で、これは前年度に比べて3千件(10.5%)も増加しています。その不正発見割合は21.7%で、不正脱漏所得金額は4,346億円でした。前年度に比べると204億円(4.9%)増加した形になっています。
法人税の実地調査による追徴税額は4,402億円で、これもまた前年度に比べて449億円(11.4%)も増えました。不正発見割合の高い業種は、1位が「バー・クラブ」で、2位「パチンコ」、3位「廃棄物処理」の順でした。不正申告1件当たりの不正脱漏所得金額の大きな業種は、トップが「貿易」で、そして「電子機器製造」、「パチンコ」などがその後に続いています。
一方、消費税の調査件数は13万9千件で、そのうち何らかのミスがあったものは、7万7千件でした。その追徴税額は722億円で、前年度に比べて171億円(31.1%)増加しています。


当事務所は上場ドットコム