国税庁が新信託法によって、新たな形態の信託が出てくることに対応するため、「法定資料を光ディスク及び磁気ディスクにより提出する場合の標準規格等の制定について」(法令解釈通達)を一部改正しました。
新信託法の施行により、信託の利用機会が大幅に広がり、委託者と受託者が同一である自己信託や受託者を定めない目的信託など新たな形態の信託が可能になります。これまでの信託に対する課税は、不動産・動産の管理などの信託は受益者段階で信託収益の発生時、貸付信託や投資信託は受益者に信託収益が分配された時、資産流動化法上の特定目的信託では信託段階に所得税や法人税が課税されていました。
ところが、平成19年度税制改正では、法人が委託者となる信託のうち、「重要な事業の信託で、受益権の過半を当該法人の株主に交付するもの」、「期間20年超の長期信託の自己信託」、「損益分配の操作が可能な自己信託」については、租税回避を防止するため、受託者の信託財産から発生する所得に法人税を課税する―、などとされました。これを受け、国税庁はこのほど、法定資料を光ディスク等で提出する際の規格を定めました。具体的には「信託の計算書」と名義人受領の株式等の譲渡の対価の調書」「信託に関する受益者別(委託者別)調書」について規格を定めています。
法定資料は、国税当局が税務調査を行うときに参考とする重要な資料情報と位置づけているものです。したがって、今回の通達改正により定められた法定資料の中身をチェックすることで、国税当局がどのような情報を入手したいのかが把握できます。
日本税理士会連合会(日税連、森金次郎会長)がこのほどまとめた平成20年度の税制改正建議がクローズアップされています。特に年金暮らしの高齢者への税制措置を求めた点が大きな反響を呼んでいます。
日税連がさきごろ、恒例の税制改正建議の20年度版を取りまとめました。今回も、公平な税負担、理解と納得のできる税制、必要最小限の事務負担、時代に適合する税制、透明な税務行政―、の5つの視点を基本として掲げ、税制のプロの立場から日本の経済状況にマッチした税制の見直しを求めています。
同建議に盛り込まれた税制改正要望全63項目のうち、注目を浴びているのが「公的年金以外に収入のない者について納税手続きを簡素化」です。サラリーマンについては、納税者としての意識を向上させることが重要であるにもかかわらず年末調整により納税手続きが完了するのに、高齢者世代である年金受給者には事務負担軽減のための制度がありません。しかも、政府は所得税の老年者控除の廃止や公的年金等控除額の縮減を行い、高齢者の税負担は一段と重くなっています。毎年約1千万人前後が所得税の還付申告を行っていますが、この中には公的年金しか所得のない人が多数含まれています。
そこで、日税連は今回の税制建議で「公的年金の受給者のうち扶養控除等申告書を提出した者については年金の支払者において年末調整に準ずる措置を講じ、公的年金以外に収入のない者については選択により確定申告を不要とするなど、納税手続きの簡素化を検討すべきである」として高齢者に負担の少ない制度への見直しを求めています。


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